粟生線支援策 なぜ神戸高速の話が出てこないのか ほか身近な支援案

28日に開かれた年内最後の粟生線存続戦略会議

前々からここ記してきた通り県がまとめることになりましたね。

もともと市民病院の存続問題や前々からいわれていた財政状況からすれば三木市や小野市といった市レベルでどうにかなる問題じゃないと思いますし、複数市にまたがる問題であるなら県が調整役に回るなり音頭をとるのが当然とまでいかなくてもそういう役回りなのではないかと思います。

ただこれまでの県の姿勢を見ると、特に知事の発言を見ても高速道路についてはいろいろ言ってはいるものの鉄道事業についてはあまり関心は無いような気がしてなりません。県も財政に余裕があるわけではないですので自腹をきるようなことは極力さけたいということはあるのかもしれません。ただ、「県が主導する=県がお金を出す」必要は必ずしも無いと思います。

休日夜の小野から粟生はまさしく空気輸送

休日夜の小野から粟生はまさしく空気輸送



というのは・・・

神戸高速があるじゃないか

今回不思議だなと感じたのが、神戸電鉄ほか阪急阪神HDや山陽電鉄、神戸市が株主の神戸高速鉄道を利用するという話が殆ど出てこないこと。

というのは、同様に利用者の伸び悩みで経営状況が悪化した北神急行では、鉄道施設を神戸高速鉄道に譲渡して北神急行を第2種鉄同業者、神戸高速鉄道を第3種鉄道事業者になって鉄道施設保有に関係する負担を軽減する役割をになっている実績があり。また、山陽の舞子公園、阪神岩屋駅などについても補助金の受け皿や負担軽減のために施設の保有などを行っている。

もともとは阪急・阪神・山陽・神戸電鉄の路線を繋ぐ連絡鉄道として誕生した鉄道であるが、第3セクター鉄道の利点を生かした運用がなされている。

それならば、なぜ株主に名を連ねている神戸電鉄の事業について支援の受け皿や支援策の1つに出てこないのかは謎である。

もしかすればここが大きな問題なのかもしれない。

神戸高速鉄道の大株主は阪急阪神HDであり、仮にも粟生線の鉄道施設を購入するとなると68億円の費用が必要になる。そうなれば少なくとも阪急阪神HDも支援せざるを得ない状態になるだろう。もちろん神戸市も同様に。神戸市を除く沿線自治体は株主ではないので個別に支援策をすることになると思われる。

ここで気になることがもうひとつ、北神急行の場合に施設を譲渡とある。これはどういうことなのだろうか? 無償?金銭的に?その額は? そのことは粟生線の支援にも役立つように思う。

いずれにしても神戸高速鉄道を受け皿にすれば小野市の市長の言う阪急阪神HDの支援を引き出すことは可能になるかもしれない。

さて、ここまでは支援をどのような機構を作って行っていくのがいいのかについて述べてきました。

ここからはもっと身近な支援について (さらに…)

お金を出すだけが粟生線の支援ではない

先日新聞に載った小野市の市長が阪急阪神HDが粟生線の満足のいく支援をしない場合はびた一文出さないとの趣旨の発言をされたことに対する私の考え。

矛盾しているんですよね。都市設計という時点で新しい市立病院の建設地を国道175線沿いという鉄道の便を考えていないような場所に作っている時点で。そもそも利用者が増えれば支援金を出すことは無いのです。病院に行こうとする人が鉄道を利用するとは考えなかったのか疑問でなりません。

鉄道は交通機関である以上に、人の足であり都市の一部です。つまり都市計画の一部に取り込まれなけばなりません。

都市計画を民間がするのであれば市に責任はないかもしれませんが、実際の都市計画の基本は行政が司るわけです。既に幾度も述べてきましたが、公共交通の利用を促進する政策を採らなければ幾ら補助金を出しても底なし井戸に捨てるようなものです。これはあくまで個人的な予想に過ぎませんが、阪急阪神HDの立場からすれば行政側が都市政策などの政策を示さなければ、民間企業の立場からして赤字の粟生線の支援を求められても難しいのではないかとも思います。

行政が都市計画などの基盤や関係機関の調整を、鉄道インフラや住宅誘致、サービスの提供で鉄道会社とそれぞれが出来ることを協同して取り組むこと必要ではないかと思います。

そう考えると粟生線存続戦略会議を脱退するという姿勢は、甚だ残念であるし無責任といえると思う。戦略を会議する場に合って自分たちはいうこと言ったから退場するではこれからの戦略をどのように立てるつもりなのか疑問である。

決して行政がお金を出したからといって乗客は乗りません。乗ってもらえるような仕組みやサービスをしないことには意味はありません。

ここに来ていろいろな民間団体の動きが見えてきた一方で行政側の動きが遅いのが影響が出てくるのでは気がかりです。

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神鉄粟生線を取り巻く9月の動き

9月に入っていよいよ粟生線を取り巻く状況に動きが見られてきた。

1つに、9月1日付神戸新聞の粟生線存続戦略会議の記事から、これまで線路施設買取による上下分離や運賃値上げが主に議論されてきたが、ここにきて別会社化という動きが出てきたこと。

2つ目は、9月6日付北播磨地域づくり懇話会の記事より県の考えが見えてきたこと

1つ目に付いて言えば、これまでは神鉄側が勧めようとしているであろう鉄道施設の買取による上下分離とはことなり、そもそも別会社として切り離してしまおうという議論です。

実のところ、ちらほらとこれについては意見を聞くところでありまして、例えば粟生線を和歌山電鉄の実績がある岡山電気軌道などの会社の支援のもと別会社にしてしまおうというもの。

この場合、利用者からすれば鈴蘭台以南は別料金となり、さらに湊川~新開地も別となるので実質運賃値上げと同じことになるといえよう。ただ、地方鉄道再生のノウハウのある会社の支援があれば、現状とは異なった対策が打てる可能性もある。もっとも支援する会社が名乗りだせばのことだ。

2つ目について言えば、県の考えというより知事の考えになるのだろうが、存廃の危機にあるという粟生線に対して親会社の阪急阪神ホールディングスが明確な支援をしないことに対する苛立ちが読み取れる。これについて言えば、あくまで個人的な推測になるが、神鉄としては路線の切り離しは鉄道会社としての義務を放棄するようなものなので出来れば回避したいところなのであろう。しかしながら元来都市間鉄道の親会社にはローカル線の運営のノウハウを持ちえていないのではないだろうか。仮にそうだとすれば金銭的な支援が親会社から得られなければ、粟生線として親会社の傘下にいる必要は小さくむしろ先に記したようにノウハウのある会社に支援を求めた方が良いのではないかと思う。

別な考えとして、阪急阪神ホールディングスとしてはそもそも支援する気がないとすればどうか。

現状のままであれば、粟生線の存続を沿線自治体が求めたとしても先立つ資金がない状況に変わりは無く、最悪廃線へ突き進むことになるだろう。ここは自治体+県と会社側の駆け引きになると思われる。

こちらでもコメントでありましたが、減少したとはいえ粟生線単独でも年間680万人の利用がある鉄道線を廃止にしたとすれば、地域として県としても恥だろう。

鉄道会社は支援を求める以上は経営の透明化や路線運営の活性化策を、行政側も鉄道利用が増える街づくりや都市設計をすることが求められているように思います。

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粟生線沿線市長+北播磨市町首長クラス会議

26日神戸新聞26面に三木市の薮本市長が、粟生線の沿線と北播磨の市町の首長クラス+兵庫県による会議の28日開催を呼びかけたと報じられた。

今年度中の存廃判断と神戸電鉄側が発表している状況なのでその通りだと年内に今後についての判断をするということなので残り4ヶ月ほど。

しかしながら沿線市自治体はもとより住民のあいだでの存続運動などの盛り上がりも特段見られるような状態でもない。今の状況だと1ヶ月後に廃止しても1年後には忘れ去られてしまうのではないかと思えてしまうほどの盛り上がりと危機感が感じられない。特に市や町を跨ぐ広域交通の問題について県が消極的ともとれる対応を未だしているのはどうかと思う。本来であれば存廃の如何に関わらず音頭をとっても良いのではないかと思う。どうしても基礎自治体が音頭をとると対等な関係になるために調整が難しくなってくる。

この関係を広域自治体に当たる県が調整をするのが役目なのではないだろうか。

今回26日に新聞発表の28日会議というのはあまりに急な呼びかけでありとても中身のある話が出来るとは思えない。もしかしたら既に話が固まっているのかもしれないがそれであればもっと早く発表すべきである。既にそのときが近づいている以上はいたずらに足並みを乱すような要因は作るべきは無い。

呼びかけた薮本市長のコメントとして「存続ありきで廃止については考えていない」とあるが、これが駆け引きで出たものであれば別として、交通政策や都市政策をベースにして出た発言であるならば、行政・自治体としてのビジョンがあって出たものだと信じたい。そうでなければ年内の危機は回避されても根本の問題は解決されないままになりかねない。むろん数年後にはまた同じ問題にぶち当たるのは言うまでもない。

既にこれまでも述べてきたように、自治体、住民、電鉄会社がそれぞれ1つになりこの問題に向かわなければ粟生線の明日は見いだされないだろう。

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神戸電鉄粟生線 3年後廃止か?

11月27日神戸新聞朝刊1面およびWEB版掲載

神戸電鉄・粟生線 11年度中に存廃判断へ」が掲載された。

以前より厳しい経営状況が続いている神戸電鉄(神鉄)粟生線ですが、ついに国からの補助金の打ち切りがほぼ決定。現状では2012年に全線~一部区間の廃止が濃厚になってきた。

沿線人口の過疎化というよりも並行道路の整備に伴うモータリーぜーションと神姫バスの平行路線に乗客を奪われたことが要因。

実際、小野、三木方面からだと西脇急行線がほぼ毎時1本以上運転される上、明石方面行きも運転されています。恵比寿駅からは住宅街を経由する恵比寿快速線もあります。電車と比較して本数は少ないですが、利用客はそこそこいます。日中に関して言えば電車よりもバスの方が適正輸送規模になっているのではと感じるほどです。

また、加古川線から神戸電鉄に乗り換えて神戸方面への流れは、電化後更に弱くなり加古川で新快速に乗り換えるのが主流になっています。加古川経由のほうが距離的には遠回りにないますが、新快速の速達性と加古川と粟生での乗り換えの利便を考えるとやはり加古川の方が便利といえるでしょう。粟生での接続は決して悪いことは無いものの、粟生線の遅さと何も無い粟生で待つのは結構苦痛になります。特に冬は回りにこれといって何も無いので寒いこと限りない。

粟生駅神戸電鉄3000系

粟生駅神戸電鉄3000系


粟生線の存続については上下分離も検討された模様ですが、そもそも財政難で病院経営も危うい三木市にそんな負担を負えるはずも無く、地元自治体にはそんな余力が無い状況です。近鉄の伊賀線(現 伊賀鉄道)や養老線(養老鉄道)のように第3種鉄道事業者として神戸電鉄、第2種事業者として3セク会社を設立して運用するというのはどうなのだろうか。いずれにしても何らかの補助金がないと運営は出来ないのは間違いないことだろう。

近鉄養老線当時の大垣駅

3セクになって生き残れるか


地元の機運も盛り上がらない。加古川線のときはそこそこ盛り上がったし鍛冶屋線は一大運動となった。粟生線については鉄道と住民のが大きく離れてしまっている気がする。生活の一部に鉄道は入っていないようである。もっとも志染以南いついてはそうともいえないが、少なくとも三木以北はマイカーありきの生活空間になってしまっている。公共交通を維持していくには自治体や国による街の設計そのものをマイカーから公共交通ベースの設計に改める必要がある。その最近の事例としては富山市がある。スプロール化で分散して非効率になった行政サービスを路面電車などの公共交通でいける範囲に集約し都市機能を効率化している。都市の規模は違えどモデルケースにはなりうると思う。

廃線後の三木鉄道三木駅

三木から鉄道が消えてしまうのだろうか


単に鉄道利用促進よりも税制などにより鉄道など公共交通を維持する政策も必要だろう。CO2削減など環境対策、将来の更なる高齢化など総合的に見て鉄道の存続価値を見直して対策を打って必要があるのではないだろうか。