第1回粟生線存続戦略会議と粟生線活性化協議会

既に報道された通り7月28日に神戸電鉄沿線市長+北播磨市町首長クラス&県による第1回粟生線存続戦略会議が開かれた。

これまでも神戸電鉄粟生線活性化協議会が行われて地道な活動が続けられてきた。結果として沿線に対して粟生線が危機的な状況にあることへの認識は格段にあがったと思う。将来の利用者といえる子ども向けのイベントや利用促進運動など限られてきた予算の中では頑張ってきたのではないかと思う。とはいえ完全とは言い難い。

会議に参加しているわけではないのであまり強くは言えないが、会議参加者と実際の活動が一致していないのではないかと思う。存続するかしないかのポイントには2つの重要の活動・組織が必要なのだと思う。1つは沿線住民による存続活動及びグループ。もう一方が行政サイド。鍛冶屋線にしても過去の赤字ローカル線の廃止や転換にしても、あっさり廃線になる場合は地域住民の支持が得られなかった路線が殆どである。ただ、一概に運動が活発であっても鍛冶屋線然りに行政サイドの判断や将来にわたる採算性などから廃線になる場合もある。ただ、廃線か存続かでその決め手になるのは利用者の数であり採算性である。つまりは沿線住民が公共交通としての鉄道を見直し、利用促進をしていかない限りは存続には結びつかないのである。

今回の粟生線存続戦略会議では初めて沿線及び北播磨の首長が揃った(代理含め)がやはりと言ってはなんだが、沿線とそれ以外で如実に温度差が現れたと言って良いと思う。神戸電鉄側は年内に存廃の判断をするといっている状況で残り4ヶ月で存続に向けた話がまとまるのかは疑問が残るところ。仮に軌道や駅などの設備を自治体で購入する上下分離などの対策が決まったとして、それは鉄道路線がカタチとして残ったに過ぎず現状のままであれば空気輸送の赤字路線が改善するようには見えない。つまり活かした意味での粟生線の存続を図るのであれば、具体的な利便性向上への対策や沿線住民の存続活動の支援をして、将来的な収益の改善を見込める状態にして行うべきである。

もっとも、残り4ヶ月に迫った状態では目に見えた乗客増加は難しいと思われる。また、粟生線に関して言えば鉄道だけの問題ではなく神姫バスの並行路線があるということも考えなければならない。神鉄という鉄道と神姫バスというバスをどう両立させるのか。某情報誌にも載っていたが赤字ローカル線の一部にはバスの方が向いている場合もある。そのことも踏まえて以前にも触れたが、粟生線が鉄道である事の必然性も問いただす必要もあるのではないかと思う。計画次第では施設買い取り費用でバス環境の格段の向上を図り代替手段として十分に使えるかもしれない。こうした市域や交通政策面は住民運動では難しく行政サイドの取り組みが必要になるところだろう。つまりは粟生線存続戦略会議ではこういった政策面での議論を深め決断をしていってもらいたいものである。

次回会議は8月末になるようです。

神戸電鉄粟生線活性化協議会

神鉄粟生線存続へ初の戦略会議 沿線自治体が参加 神戸新聞

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粟生線沿線市長+北播磨市町首長クラス会議

26日神戸新聞26面に三木市の薮本市長が、粟生線の沿線と北播磨の市町の首長クラス+兵庫県による会議の28日開催を呼びかけたと報じられた。

今年度中の存廃判断と神戸電鉄側が発表している状況なのでその通りだと年内に今後についての判断をするということなので残り4ヶ月ほど。

しかしながら沿線市自治体はもとより住民のあいだでの存続運動などの盛り上がりも特段見られるような状態でもない。今の状況だと1ヶ月後に廃止しても1年後には忘れ去られてしまうのではないかと思えてしまうほどの盛り上がりと危機感が感じられない。特に市や町を跨ぐ広域交通の問題について県が消極的ともとれる対応を未だしているのはどうかと思う。本来であれば存廃の如何に関わらず音頭をとっても良いのではないかと思う。どうしても基礎自治体が音頭をとると対等な関係になるために調整が難しくなってくる。

この関係を広域自治体に当たる県が調整をするのが役目なのではないだろうか。

今回26日に新聞発表の28日会議というのはあまりに急な呼びかけでありとても中身のある話が出来るとは思えない。もしかしたら既に話が固まっているのかもしれないがそれであればもっと早く発表すべきである。既にそのときが近づいている以上はいたずらに足並みを乱すような要因は作るべきは無い。

呼びかけた薮本市長のコメントとして「存続ありきで廃止については考えていない」とあるが、これが駆け引きで出たものであれば別として、交通政策や都市政策をベースにして出た発言であるならば、行政・自治体としてのビジョンがあって出たものだと信じたい。そうでなければ年内の危機は回避されても根本の問題は解決されないままになりかねない。むろん数年後にはまた同じ問題にぶち当たるのは言うまでもない。

既にこれまでも述べてきたように、自治体、住民、電鉄会社がそれぞれ1つになりこの問題に向かわなければ粟生線の明日は見いだされないだろう。

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小野市エクラ鉄道模型展と北条町駅 8月壁紙

この7月23日24日に小野市にあるエクラで川崎重工鉄道研究同好会の協力で鉄道模型展が行われたので少し覗いてきました。

小野市と言うことで粟生線活性化協議会も参加されて沿線案内パンフレットや6000系の128ミリゲージのミニトレインも運転されていました。

小野市エクラ鉄道模型展示展

節電の影響と夏休みと言うことで子どもでいっぱい。日常に鉄道があるとは言い難い地域とはいえ、昔から変わらず鉄道模型の走行会は人気があるようです。これが少しでも鉄道への関心や乗車増加に向いてくれればと思うばかりです。

折角将来のお客様になるだろう子どもが多いのに、粟生線活性化協議会のブースというかパンフレット置き場は保護者に埋もれて存在感ゼロでした。もっとグッツ販売やキャラクターもきていればもっとPRになったと思うのに惜しいばかりです。この辺に活性化協議会の置かれた状況や現在の粟生線の状況が如実に表れているのだと思います。

ところ変わって加西市北条町駅

エクラから加西に向かう途中で加古川行きと踏切で出合ったのでもしかしたらと思うと、北条町で加古川線と接続して出発した列車がやってきました。

北条町駅

粟生行きが発車


自分が駅に寄ったのは乗るのでは飲むため。そうです北条鉄道サイダーです。ビン入1本200円。ネットでも多分売っていたと思います。

いろいろと市長選以降人事でゴタゴタなどがありましたがやっと落ち着いたようです。今のところ特に変化はありませんがこれからどうなっていくのか見守っていきたいと思います。

8月の壁紙です

ワイド16:10版2011年8月16対10ワイド壁紙

キューブ4:3画面版

2011年8月4対3画面用壁紙

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道路と高速道路と鉄道の価値

国鉄時代 いやそれ以前から地方でよく見られた「我が町にも鉄道を!」

我田引水ならぬ我田引鉄とはよくいったもので、自家用車が普及していない時代に鉄道というと陸の主力交通であった。

町の発展には欠かせなかったのである。だから挙って鉄道を敷こうとした。鉄道を敷ける 鉄道が通っている 駅があるというのは地方の町や村にとってはステイタスでありシンボルになった。他に交通手段がなければ人はそこに集まった。町の玄関口になった。

時が移り自家用車が普及してくると高速道路の建設が盛んになった。

高速道路は一般道よりも建設コストもメンテナンスも大きくなる。一定の需要と重要性が無ければ建設されない。町への入口はICなどに限られた。一般道より高速で多くの物流を支えられることからも町に高速道路が出来、ICが作られることは町の付加価値を高めやはりステイタスになった。

鉄道、高速道路はそれぞれ同じような価値を持っている部分がある。そして両者の共通点として「地図に掲載される

特に鉄道は明確に掲載される。これは高速道路には無い意味がある。

それは公共交通として明確にそこに存在していることが見て取れるということ。高速道路の場合、ICはあるがそこに公共交通の高速バスがあるとは限らない。しかし鉄道駅は明確にそこに公共性を持ち、人が集まる地点が存在する。だから広くシンボルたり得る。

もっとわかりやすく言えば一般道の路線バスがいくら頑張ろうが国土地理院発行の地形図には停留所もバス路線も掲載されないが、鉄道駅は記される。それだけランドマークとしての意味が強い

前の投稿のコメントでも寄せられている通り、不動産にしても駅を基準にしていることが多い。

いくらバスの利用の増加や自家用車の普及が進み人口が減っていなくとも、「鉄道が廃止になる=地域の衰退」と捉えられるのが一般的だろう。そう考えれば現在利用者が少ないからと行って急ぎ「廃止」の判断を下すのはあまりに危険すぎると思う。これは廃止を前提にしないという意味ではなくそういうリスクと損失があることをよく考えて早急な対策をうって行く必要があるということで、近日中に2度前の北播磨の市町と県の粟生線対策会議が開かれるようなので期待したいです。

近鉄新型特急車両と粟生線活性化協議会ほか

2日付けの神戸新聞は関西の鉄道ニュースが2本掲載される珍しい紙面になった。

1つは既に周知のごとく近鉄新型観光特急車両の話題。

資料や神戸新聞など報道によると阪神線乗り入れを想定して設計されるようです。
阪神線乗り入れとなると、なんば線や岩屋から西の地下線に対応するため貫通型になるのだろうか。設計をみるとそうとも見れなくはないです。また、車両限界が気になるところですが、3号車は2階建てとなっています。ただ、以前から言われていた山陽姫路乗り入れは神戸高速線の車両限界等も絡むので難しいかもと個人的には思います。

気になる料金は特急料金+αとなるみたいですね。そうでないと座席半分じゃいくらなんでもと思います。
近鉄の話題から、阪神なんば線開通して相互乗り入れが始まってから神戸新聞での近鉄関係の記事がどっと増えたように思います。一方で阪急関係は少ないですね。嵐山直通特急関係など地域にも寄るのかもしれませんが全く載っていませんでした。それくらい近鉄や乗り入れは期待されているといっていいのでしょう。

一方で・・・

7月1日に開かれた第9回神戸電鉄粟生線活性化協議会はというとほとんど全く進展なしの具合です。記事にもありますが、住民側も支援について結局は行政が判断するのでどうしようもないと感じているのでしょう。

神鉄から支援についての具体案が示されているにもかかわらず何の議論もされないということは、茶番といわれても仕方ないではと思います。神鉄側の支援策など既に発表された内容であり、協議会ではそれを元に議論や対策を決め実行に移す場ではないだろうか。このままでは幾ら協議会を開こうが実のある議論は行われず、また地域住民が参画した場で議論が進まないとなると本来盛り上がるべき沿線住民まで存続活動が活性化せずますます危機的な状況に陥ってしまうのではないかと危惧する

存続や支援を決定するのは会社や自治体かも知れないが、一番利用するのは沿線住民であり廃止になって影響をうけるのも住民(利用者)である。沿線住民抜きなど考えられない。これを改めないと根本的な問題は変わらずまたすぐに危機に陥るのは見えている。 

粟生線活性化協議会のHPっていつも思うんだけど、ブログ形式とかにしてもっと見える化したほうがいいじゃないかな。

神鉄粟生線に替わる交通機関を考えてみる

6月24日神戸新聞に神戸電鉄粟生線に関する重大な記事が2つ載った。

1.2010年度も12億2700万円の赤字

2.押部谷~粟生の18㎞の土地を68億円で沿線に市に買い取り&施設修繕費用の負担を求める

これはこれまでの話の流れからすると当然の流れですね。せめて車両を除いたハードの部分の負担を減らすということでほかのローカル鉄道でも見られることですし、JR東西線などの新線でも見られることなので不思議でもありません。

もっとも今回重大なのは、例え上下分離をしても2012年度で7億5千万、2021年度で9億3千万の赤字試算が出ている。

神鉄からは赤字削減策として日中の志染~粟生を毎時1本にすることなどの対策を提示しているようですが、億単位の赤字と路線環境からして対策と効果は限られそうです。

前置きが長くなってしまいましたので本題へ

「鉄道に拘らず公共交通の維持として考えてみようと思う。」

まず考えてみた2案の結論から述べてみる。

「①粟生線は鉄道線として志染までとして志染から粟生まではフィーダーバスで運行する。運賃は原則鉄道線との通しとする。」

「②神鉄粟生線を廃止し、神姫バス路線のハード面での環境を向上させる」

1案について

説明

一定の乗客が見込める区間については鉄道で、そしてその鉄道に接続する形で路線バスを連絡させる。ただ接続させるのではなく同一プラットホームで乗り換えが出来るようにすることで利用者の利便性を高めるフィーダーバスとする。最近この手の鉄道とバスを公共交通として一体で考える方法が増えてきている。富山ライトレールの岩瀬浜しかり熊本電鉄の御代志駅も同じホームでの乗り換えができ利便性を向上させている。

もう一つの条件が運賃

多くの場合鉄道が廃止になった場合、廃止区間は別料金のバスとなり料金が上がることが多い。バスは鉄道設備などの多額の設備維持費用は大きく抑えられる。なのに運賃は上がる。原因は①代替バとなり別料金になること。 ②引き受けたバス会社の路線運賃が高い ②元々赤字のため穴埋めのため高く設定されている。

鍛冶屋線然りで上記のような事が起きる場合が多い。よって神戸電鉄粟生線として全線維持させ、うち志染までを鉄道線として、志染~粟生までをフィーダーバスとして運行させて料金体制は現状を維持させることで、運賃面で維持しつつ設備維持コストの抑制も可能ではないかと予想する。

バス区間については軌道敷をバス専用道とするか一般道を利用する。いずれの場合も停留場などの設備は安全面や利便性を向上させた設備とする。

2案について

神鉄粟生線は廃止する一方、神姫バス路線についてバス路線となっている道路の安全性を向上させ公共交通としてのバスの利用環境を向上させる。現状のバス停留所は交通の多い道でありながら歩道がなかったり停留所の標識しかなかったりする場合が多い。神鉄粟生線の危機ばかりが叫ばれているが、同じ公共交通のバスも決して利用者視点にたったよい環境とは言い難いのではと思う。鉄道存続にかけるコストでバス交通の向上が十分に可能ではなかと思う。もっともラッシュ時の利用者数から輸送力の限界があるので上記同様廃線敷のバス専用道として利用するなどの策は必要だと思われる。

新聞にも小野市市長も「単に鉄道の存続ということだけではなく地域の公共手段の考え方を白紙にして構築することも・・・」と述べているとしているようにもしかしたらこのような方向に進む可能性もあるのではないかと考えています。

参考

神戸新聞 粟生線購入を沿線3市に要請へ 神戸電鉄

富山ライトレール

熊本電気鉄道

神戸電鉄粟生線活性化協議会

三木市「乗って残そう未来の粟生線」

広報みき2月号(2011年)発行!

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