生きた鉄道遺産の活用と活性化

この夏行った四日市で訪ねた臨港線の末広橋梁と近鉄内部線から鉄道遺産の活性化と活用を考えてみようと思う。
JR四日市駅から自転車で10分程度の臨港地区に架かる末広橋梁。これは今となっては現役唯一の昇降式可動橋である。かつては臨港地区などに架かっていたタイプは異なるが可動橋で有名なところとしては廃線となった佐賀線の筑後川昇開橋がある。そちらも国の重要文化財に指定されている。鉄道としては廃線になっているので現役ではなくまさしく遺産となっている。
一方で末広橋梁は今なお貨物列車は通る現役の橋である。つまり本来の造られたときの役目を今も果たしている。これは個人的な指向(嗜好)として“モノの魅力って本来の役割を果たしている時が一番魅力を感じる”と思うのですね。なので例えば現役を退いて動かなくなった車両が博物館等で保存されているのには余り強く魅力を感じないのです。SLもそうですが、やはり煙を吐いて動いてこそ本来の魅力を感じるものなのだろうと思います。そういう点においては末広橋梁はその希少性と現役という2つにおいて貴重な存在だと思います。また一部のファンはともかく一般的な観光地化されていないのもポイントが高いです。

では実際に行ってみた現地についてレポートしていきたいと思います。
JR四日市駅駅舎まずは四日市駅に到着後、橋や近鉄駅まで距離が有ることからJR四日市駅のこにゅうどうレンタルサイクルで自転車を借りました。こにゅうどうレンタルサイクル免許書などを提示して利用者登録をしてからの利用になります。普通の自転車は翌日10までの利用で120円、電動アシストは当日20時までで240円とリーズナブル。受付の伯父さん曰く、昼ごろにはなくなってしまうこともあるそうです。特に電動は早いので要注意。貸し自転車で目的地を言うと観光パンフレットを頂けました。
駅を出るとまずは駅舎と反対側に向かわないといけません。駅の南側にある踏切を渡りますが列車本数以上に貨物の入換で遮断機がしまることがあります。ちょうどこの時もそうでした。なお入替のときは、“入換中”と表示されます。踏切を渡ると国道23号にぶち当たりますが、交通量が多いので右折して側道を南下してくぐった方が便利です。なお、国道23号を含めて周辺は工業地帯なので大型貨物が非常に多いですので通行には注意が必要です。右折して進むと2車線の道路に出ますので左折します。その先には変則的な交差点にでますので正面斜め右に進む道に進みます。なお、左折するとローソンがありますので食料の調達が可能です。進んでいくと踏切に出ますので手前を左折してす進みその次の踏切を渡ると着きます。回りは倉庫と工場ばかりなので通行には無理のないようにしてください。末広橋梁付近には特別駐車場があるわけでもないので、車では来ないほうがいいでしょう。運河沿いに停めれないこともないのですが、撮影の邪魔になったりとも考えられなくはないのでおすすめは出来ません。
末広橋梁説明板臨港線の線路には遮断機のないものが多く、露盤も草が生えて重量貨物列車が来るのだろうかと思いたくなる。でもそれがまたいい雰囲気をだしている。橋梁は平日は列車が通るときに下げるようになっていて、列車通過前20分くらい前と通過後5分くらいに係員が来て操作しているようだ。訪れたときはちょうど係員が下げる作業を終えて自転車で去るところだった。列車は三岐鉄道の東藤原発で富田から四日市まで5365列車でやってきた列車。

四日市に12時46分着。末広橋梁には12時55分頃通過していった。列車はかなりゆっくりとした速度でやってくるので警報機の音が聞こえてからもカメラの準備はできそうです。むしろあまり早くから構えると疲れてしまうかも。橋を渡り終える前に対岸の埋立地のほうから太平洋セメントの機関車が空荷のタキを牽引してやってきていた。DD51率いる貨物が渡り終えると対岸で入替え作業が始まります。橋のあたりからも防波堤越しに入替えの様子が見えます。末広橋梁から貨物入換もしかしたらと前に買っていたVR-150にイヤホンを挿してダイヤルを回してみました。そしたら入替の無線を聞くことが出来ました。入換作業の動きと合わせて現場の様子が想像できます。
渡って10分もしないうちに入換は終了して再び橋を渡って行きます。末広橋梁をDD51渡る貨物
Suehirokyoryo Kuuhen Kamotsu空返貨物走行音

橋を渡り終えてしばらくすると自転車で係員がやってきて橋を上昇させます。



臨港橋末広橋梁の隣には同じように跳ね上げ式の臨港橋があります。こちらは普段降りていて船が通過する時にあがるようになっています。末広橋梁遠景臨港橋から見た末広橋梁。


今回はこの後少し時間に余裕があったので、対岸の臨港線の様子を見てきました。臨港線踏切信号付き現役太平洋セメント臨港線臨港線は大きな踏切には信号機が付けられて一旦停止が不要になっており、事業所の玄関先などは非常に簡素な踏切になっていました。太平洋セメントに入る直前の踏切はワイヤータイプの遮断機になっており踏切横に小屋がありました。もしかしたら手動操作なのかなと思ってみたりします。太平洋セメント臨港線踏切


末広橋梁での撮影を終えて臨港地区を後にして近鉄四日市駅へ。
次はBRT置き換えの話が出ている内部・八王子線です。自転車は近鉄四日市駅北側、湯の山線と名古屋線の間にある駐輪場に駐めました。ここの2階にJR側にあったのと同じレンタルサイクルがあり無料で駐輪できました。内部線ホームは駅の南側、うっかり急いで北側改札に回ってしまったところ改札で事情を話すと反対側まで通してもらえました。遠方から来た人にとっては内部線ホームは少しわかりづらいかもしれません。何とか急いで内部線の改札を通って出来た切符を取ると・・・何故か回数券!? 駅員に訊くと「この改札前のタイプも通してしまうんですよ」って、「いやいやそうじゃなくてこっちをいれたんですけど」とあとで出たままになっていたいれた切符を見せるとわかってもらえました。泊までのだったので改札は大丈夫かもしれないけど・・・
電車に乗ると・・・暑い! 窓は可能な限り全開。扇風機は全力回転! だけど暑い。そう冷房がありません。汗だくになりながらの乗車です。車窓を撮ろうか走行音かと思ったのですが、せっかくナローの釣り掛けで三岐北勢線でも録ってなかったのでICレコーダーで走行音と録ることにしてみました。暑いさで誰も無口になっている?のも幸い自分の発する音以外無駄に入ってしまう音はありませんでした。

UtsubeLine内部線下り列車走行音

列車は釣り掛け音を響かせながらゆっくりとした速度で走行。市街地や住宅地を走るので小さな路面電車といった感じです。ナローゲージゆえかカーブやポイントに差し掛かると制限がかかり極端に遅くなっていました。直線区間での速度を考えると性能的には余裕がありそうなので何とかならないものかと思いました。四日市から内部まで5.7kmを17分かけて到着。内部線電車内部駅は病院と飲食店に隠れたような状態でありました。駅に併設してこじんまりした研修施設があり訪問した時も整備が行われていました。内部線車庫駅前の小さな通りを通ると「乗って残そう内部・八王子線」の上りが並んでいました。乗って残そう内部・八王子線幟どこかで(粟生線)で見られる光景ですね。駅前を通る旧国道1号線にでるとそこそこ車の通りがり人の気配もあります。また線路の終端の先を国道1号線(新道)が通過しています。交通量はかなりあります。


駅周辺をみると道路交通はいいものの普通の鉄道が廃止になってしまうような状態ではないと思います。ただ駅や路線を見るとナローゲージゆえの小ささか今ひとつ存在感がないというか埋もれてしまっている感じがします。内部線終点から内部駅についても道路に案内表示が見当たりませんせした。このことは神鉄粟生線についても言えるのではないかと思います。そして一番頂けないのが非冷房です。今の時代バスでも冷房が当たり前(無い方を探すほうが難しい)の時代に非冷房は頂けないです。内部線非冷房車の扇風機速度も決して速いとはいえない状況では同じ公共交通に乗るのであればバスに流れるのが自然といえるでしょう。また道路もいいので車に流れることも考えられるでしょう。同じナローゲージで三岐鉄道になった北勢線が可能な限り冷房を搭載したのとは対照的と言えると思います。北勢線の冷房装置写真は北勢線の車内置きの冷房装置で外部から見るとルーバーになっています。
確かに車齢などを考えると難しい部分もあると思いますが、利用者サービスを考えるとこの時点でアウトだと思います。ではBRTにするのはどうでしょうか。地元利用がほとんどと考えるとBRTにするほうが鉄道路線維持コストよりも安いでしょうし冷房化も実現できます。代わりバスなので地図からは消えてしまいますしもしかすると運賃も鉄道線とは別になってしまうかもしれません。利用状況などを見るとBRTの方がプラスになるのではと思うところがあります。
しかしながら、市街地を走るナローゲージトレインという今となっては非常に希少性のある通勤通学路線を生かさない手もないともいます。冷房化などは北勢線のような方法で可能ではないだろうか。速度についても向上が可能ではないかと思うのです。そうすれば他にない価値+通勤通学路線としても使える鉄道に変われるのではないないかと思います。もっとも古い車両を根本的に何とかしないといけないですし、特殊性からコストの問題もあると思います。サ121形元を辿ると1949年製のモニ227で近鉄最古参。


市内にある末広橋梁とナローゲージ内部・八王子線。そして、今人気スポットとなっている工業地帯の夜景のように現役の持つ魅力が今注目されているのではないかと思います。なくすのは簡単、でも続けるのは難しい。しかし単独では残すのが難しくても1つひとつの魅力を繋げて手を加えていけば生活環境も鉄道の魅力も、そして街の魅力も良くなるのではないかと今回改めて思いました。こにゅうどうレンタルサイクルの案内にもあるのですが、「自動車に過度に頼らない、歩いて暮らせるまち」こそ街の活性化とこれからの都市、交通のあり方なんだと思います。


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