伊賀鉄道と和歌山電鐵に見る地方鉄道の姿勢

先日行って来た伊賀鉄道。GWに載ってきた和歌山電鐵。
それぞれ大手私鉄のローカル線で赤字により廃線の危機に瀕した路線である。南海電鉄貴志川線は岡山電気軌道の支援により和歌山鐵鉄として存続し、今はタマ駅長をはじめとした観光資源と個性あふれる電車、地域観光資源を組み合わせて注目され乗客を増やした。
伊賀鉄道は近鉄伊賀線は上下分離で施設と車輌の保有は近鉄(※現役車は伊賀鉄道保有)が、運転は伊賀鉄道が行う。但し伊賀鉄道そのものも社章を見て想像できる様に近鉄連結子会社でそれに伊賀市も出資している。(wikiより)
伊賀鉄道は近鉄の出資が多いので近鉄色が濃いかといえばそうでもなく、実際乗ってみると地元のローカル線である。特に東急より導入された200系の車内は元が東急とうこともあるが実に地元の鉄道とした感じが伝わってくる。

ふくにんラッピング電車伊賀鉄道200系

いずれの鉄道も全てではなくても車内を少しでも快適に、おもてなしを感じさせる工夫がある。和歌山の場合タマ電車やおもちゃ電車などがそうであるし伊賀鐵道の場合一部シートをクロスにして一部区間では案内放送がかかる。特に印象に残ったのは上野市駅の案内放送しているおばちゃんです。いわばどこの町にでもいる元気なおばちゃんが駅の案内放送と改札を兼業しているのには驚いた。無人駅が多い中、市の代表駅?である駅で親しみやすい人が居ると言うのはとても安心できる。通学途中の高校生に声をかけたりして町、そして人の生活に鉄道が溶け込んでいるのがとても印象的だった。


貴志駅はタマ駅長で有名に

貴志駅はタマ駅長で有名に


和歌山の場合、比較的観光的な印象が強かったがそれでも「日本一のローカル線をつくる」でもあったように地元と供に歩んでいく姿勢を強く感じた。地方の人口が減少する中、やはり観光で外から人に来て乗ってもらう事の重要性を感じられた。

860系さよなら運転

イベントをしてファンの確保も大切


伊賀、和歌山ともに環境は似ている
1.都市圏から離れている
2.本線から分かられる枝線
3.人口規模は上野市(現 伊賀市)約6万人 2003年当時、旧貴志川町 約2万1千人 ※和歌山市 約36.7万人
4.道路が比較的整備されている・・・特に都市圏との

和歌山電鐵の場合、和歌山市の人口規模はあれど沿線は地方とそれほど変わらない。


今回これを取り上げたのはやはり神鉄粟生線との比較ですね。
粟生線の場合・・・
1.都市郊外
2.本線から郊外への路線
3.人口規模は三木市8万人 小野市4.9万人 神戸市北区、西区・・・
載せてて言うのもあれですが、町の人口はあくまで参考程度で下手すれば参考にもならない。肝心なのは沿線人口であり駅勢圏の人口なんですよね。とはいえ立地条件で言えば粟生線が人口規模では不利とはいえないのではないかと思う。やはり違いは・・・
路線環境と郊外であるためのライバルの存在なんじゃないかと。おまけに全体的に土地あまりで駐車場も多く道も整備されているので車に流れるもの早い・・・ということなんじゃないかと考える。
つまり田舎でも町でもない立地とコストのかかる線路が他にない不利を背負う原因なんだと。


これを前提にどう対応していくべきなのか・・・
運営面では伊賀鉄道のような上下分離が現実的なのかもしれない。経営をオープンにした上で赤字分をいかに補填させるか、「日本一のローカル線をつくる」的には公設民営で施設は行政、運営は民間なのだろうが果たしてできるのだろうか。伊賀線のように親会社に余力があれば何とかなるのだが、粟生線の場合阪急阪神HDさんかな・・・。
忘れてはならないのは地元の鉄道だということ。市民が出資者で市民の鉄道として身近に、そして利用者になること。これが無くなると行く努力しても残るものも残らない。恐らくその差が、廃線となった十和田観光電鉄であり長野電鉄屋代線と残るローカル鉄道の違いなんだろうと思う。

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