河川争奪の現場 中央分水界の栗柄峠と鼓峠

の職場のある篠山市には河川争奪の現場の分水界があります。一つは加古川水系の篠山川と武庫川の分水界。これは篠山口駅のすぐ近くにあります。


今回取り上げるのは篠山市(旧多紀郡西紀町)にある栗柄峠と鼓峠。
旧西紀町のかつての役場があるところから県道97号線を北上。ゆるやかな勾配の谷間を登って行くと三叉路にたどり着く。正面に「くりから谷中分水界」の看板がある。くりから谷中分水界ちょうどこの付近が分水界となっており。

[googlemap lat=”35.134254″ lng=”135.220407″ align=”undefined” width=”300px” height=”150px” zoom=”16″ type=”G_NORMAL_MAP”]兵庫県篠山市栗柄 県道69号線[/googlemap]

県道97号線より東側は宮田川に流れて篠山川、加古川を経由して瀬戸内海へ。97号線および69号線より北側は杉ケ谷川に流れて峠付近から滝ノ尻川となり丹波市春日町方面へ北流して竹田川となり、最終的には由良川に合流して日本海に流れ込みます。日本海と太平洋(側)の分水界ということで中央分水界がここを通っていることになります。

看板の左手に奥にある観音堂に通じる道があり、そこから日本海へと向かう杉ケ谷川(滝ノ尻川)に行けます。お堂から川へは動物の侵入を防ぐゲートがあります。ゲートを入ると道は小橋をわたります。杉ケ谷川川は橋のすぐ南で急に西寄りに向きを変えます。ちょうどこの地点から山を切り分けたような狭い谷となっており、その他にを掘り下げるかのように川は流れています。栗柄峠130630(7)道は川よりも高い位置を倶利伽羅不動尊に向かい進みその先で倶利伽羅不動の滝に向かう階段となっています。滝は4メートルくらい。鬱蒼と茂った森林と狭い谷にあるため、どこか神聖なというか霊的な感じを受けます。倶利伽羅不動の滝ここから川は急激に谷を下っていきます。おそらく長い年月を経て小さな谷だった部分を川の流水が洗い削りとってきたことが想像できます。そして元々宮田川の支流であった上流の杉ケ谷川を奪い日本海に向かう流れに変えたのだと予想出来ます。遠い将来、滝が上流側に移動していき最終的には宮田川の上流部分も奪ってしまうのかもしれません。もっとも人間の尺度では遥か未来のことだとは思います。

さて、滝からもどり倶利伽羅不動尊に立ち寄ると、杉の木立からブーンと言う羽音が聞こえました。ニホンミツバチの巣?樹の根元を見るとミツバチが出入りしていたのでどうやら巣があるようです。ニホンミツバチの巣は外からとはいえ初めて確認しました。そこから元のお堂のところまでにはカニの死骸があったり、自然の豊かさを感じさせました。


建設中の西紀ダムこの杉ケ谷川なのですが、谷中分水界のすぐ北側で西紀ダムが建設中でもしかするとこれにより川の環境にも影響がでるかもしれません。


このあと、もう一つの中央分水界の宮田川上流にある鼓峠に向かいました。
鼓峠までは県道97号線を進みます。途中は次第に谷が狭くなるものの田んぼ民家が点在する風景が続きます。勾配は次第に増していくものの急勾配というほどではありません。峠は突如やって来ました。

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兵庫県篠山市 県道97号線[/googlemap]

左に急カーブして舗装に筋が入ると今度は急な勾配とカーブが連続。それまであった民家や田んぼは一切無く山の峠そのもの。ヘアピンカーブを下り坂を降りきった地点から通ってきた方を見ると、山並みが連なる多紀連山が見えます。鼓峠の北側から多紀連山このように片方だけが急な勾配の峠を片峠と呼び、この鼓峠は片峠の典型的なものとなっています。
この鼓峠も先ほどの栗柄峠と同じく中央分水界で峠の北は日本海に注いでいます。では境はどこかといいますと、ちょうど峠部分のやや南側に1枚の田んぼが境になっているそうです。実際に目視で確認したかったのですが、なにぶん峠付近が狭く車を停めるところもなかったので諦めました。


この篠山市ですが、市内で日本海と太平洋(瀬戸内海)の2つの流れがあることになります。もっと言えば旧の西紀町の中にあるわけですが、1つの町が中央分水界の峠を挟んでいるというのはそう多くないのではと思います。特に鼓峠は町の境界線になっていても不思議でない地形です。そこには町の成り立ち、歴史が関係しているのだと思います。
地形で言えば、山に囲まれた篠山盆地は周囲の水系と比較してだいぶ高いようです。なので滝の尻川のように狭く深い谷を刻んでいるのだと思います。加古川水系の篠山川も川代渓谷を刻んでいます。篠山川と加古川の合流地点の標高が80メートル程度なのに大して篠山盆地は190メートル以上となっています。このように篠山盆地の標高が高いため、ひとたび標高の低い外側から谷を削り盆地内に侵入されると侵食を受けやすく河川争奪が起きやすい環境になっているのではと思われます。一方で、武庫川は河川勾配が緩やかなため加古川との河川争奪に負けているのだと思われます。


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